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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)632号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人平野卯三郎上告趣意について。

少年法第八條の適用をうける少年は、犯罪時においてではなく、判決時において十八歳に滿たない者に限ると解すべきことは既に當裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一二一號同年一二月一一日第一小法廷判決)の示すとおりである。しかるに被告人が昭和三年六月六日生であることは記録上明かなところであり、犯罪時の昭和二一年六月四日は滿十八歳に缺けること僅か二日であったが、原判決當時(昭和二三年四月二日)においては、已に十八歳を超えていたのであるから、原判決には法令の適用に關し所論の違法はない。また被告人が犯行當時飲酒の結果心身耗弱若しくは心身喪失の状態にあったことについては記録上原審において論議せられた何等の形跡もなく、從って原審がこれについて特に審判しなかったからといって所論の違法ありとすることはできない。なお刑の量定に關する所論は事実審裁判所たる原審の裁量権に屬する非難にとどまるものであるから、上告適法の理由とはならない。論旨はすべて採るを得ない。

よって刑訴第四四六條に則り主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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